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女性に多い関節の病気は・・・

別ページでは更年期の関節症状の情報をお伝えしていますが、ここでは更年期関節症以外の見逃してはいけない重要な関節の病気についてお伝えします。

 

関節が痛くなる病気はたくさんあり、代表的なものとして

・変形性関節症 

・肩関節周囲炎(40肩、50肩)

・痛風、偽痛風  

・癌

・細菌やウイルスによる感染症 

・関節リウマチなどの膠原病 

・腰痛症 

・ホルモン異常(更年期関節症) 

・薬の副作用

など多くあります。このうち、早期の治療によって良くなる可能性があるのに、放っておくと体力が落ちたり機能障害がおこるものがあります。その一つが関節リウマチです。

 

実はこの関節リウマチは更年期年代の女性にも多い病気といわれています。(7:3で女性に多い)

 

関節リウマチとは、手足などの関節が炎症をおこし、腫れたり痛くなったり、進行すると関節自体が変形し、日常生活が不自由になる病気です。発症している患者は日本の全人口の0.5~1.0%と言われており、この割合は世界中でも変わりません。30~50代の女性に多く発が見られますが、最近では人口分布の影響で60代~70代の患者さんも増えてきています。

(関節リウマチの原因)

関節リウマチは免疫の異常で生じる病気です。免疫とは、普通は外のウイルスや細菌に対して体を守るように働くのが通常の働きですが、何らかの原因で間違えて自分の体を攻撃してしまいます。こうした病気を「自己免疫性疾患」といいますが、関節リウマチはその病気の一つです。遺伝や細菌・ウイルスによるものなど原因は1つではありません。免疫が異常な働きをする細かい原因はまだわかっていませんが、最近は喫煙や口腔内細菌、腸内細菌も発症に影響を与えていることがわかってきました。

 

(関節リウマチの症状)

最初は何となく関節がにぶい、じんじんする、手足がむくんだような感じがするなどの症状が現れることが多いです。そして様子を見ていても良くならず、徐々にはっきりとした痛みや腫れ、朝起きた時に関節がさび付いたみたいに動かしにくく、こわばったような症状がでることが多くなります。一般的な痛み止めだけではすっきりしないことが多いのが特徴です。また、激しい運動や重いものを持つなど関節に負担がかかることをすると症状が強くでるのも特徴の一つです。

 

(関節リウマチの検査)

どのような症状がいつからおこってきたのかなどの詳しい問診や経験の豊富な専門医による触診のほか、血液検査やレントゲン、関節超音波などの画像検査などを行い、それらの結果を国際的な診断基準にあてはめ、総合的に診断をおこなっていきます。

当院では関節の腫れや炎症を細かく確認することができる関節超音波をリウマチ専門医、登録ソノグラファーである医師が積極的に行っており、早期発見に努めています。

 

(関節リウマチの治療)

関節リウマチ治療の基本は薬物療法です。国際的な治療のガイドラインではまず飲み薬による治療を行い、十分な効果が得られなかった場合などには、注射などのより高度な治療を加えていくといった方法が推奨されています。また、リハビリテーションを早期に行うことで、関節に負担をかけない生活の工夫を身に付け、将来的な関節の変形を予防していく効果が期待されています。

発見が遅れるなどして残念ながら関節が変形するまで症状が進行し、日常生活に支障がでるなどの場合は、手術により関節機能の改善をはかります。壊れてしまった関節はもとには戻らないため、早期発見・早期治療がとても重要であることは間違いありません。治療薬との相性は個人によって違うため、医師と相談し、症状に適した治療を選択する必要があります。

 

(リウマチと更年期関節症の大きな違い)

いかがでしょうか、関節リウマチの症状は、更年期関節症の症状に非常によく似ているのです。

両者の最も大きな違いは、関節破壊が起こるか起こらないかです。

リウマチは慢性的な関節炎により関節破壊を起こす病気です。治療しないで放置しておくと関節が変形していきます。変形した関節は現代の医学では元に戻すことはできません。

それゆえ早期発見、早期治療が必要なのです。

更年期関節症は、様子を見ていても関節破壊が起こることはありません。

そして、何年か先になるかもしれませんが、つらい時期を適切な治療で乗り越えれば、自然に症状は軽快します。

様子を見てよい更年期関節症なのか、早期治療が必要な関節リウマチなのか、鑑別が非常に重要になってきます。

 

当院の診療がお役に立てれば幸いです。



執筆者兼監修者プロフィール

上原武晃

湘南リウマチ膠原病内科

院長 上原 武晃

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