ブログ・コラム
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『シェーグレン症候群 』について
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【シェーグレン症候群の疑いがある、シェーグレン症候群ではないかと心配な方へ】
〇シェーグレン症候群とはこの病気は涙腺や唾液腺を標的とする膠原病(自己免疫疾患)で目の乾燥、口の乾燥が特徴的な病気です。シェーグレン症候群は他の膠原病の合併がない「原発性シェーグレン症候群」と合併を伴う「二次性シェーグレン症候群」に分類されます。40-60歳代に発症のピークがありますが、子供から老人まで発症する可能性があります。男女比は男1:女14人くらいで女性に多く発症します。関節リウマチの患者さんの約1/4はシェーグレン症候群を合併すると言われています。
〇原因この病気の原因は正確にはわかっていませんが、自分の体の免疫が誤って自分の正常な細胞を攻撃してしまうことによって発症すると考えられています。遺伝、ウィルスなどの環境、女性ホルモンなどの要因が考えられ複雑に関係しあって発症すると言われています。遺伝に関しては家族内でこの病気が発症する確率は2%位と言われています。
〇症状目:目の乾燥、涙が出ない ・目がごろごろする ・目がかゆい ・目が痛い ・目が疲れる ・物がよくみえない ・まぶしい ・目やにがたまる ・悲しい時でも涙が出ないなど。口:口の乾燥、口が渇く ・ 唾液が出ない ・ 摂食時によく水を飲む ・ 口が渇いて日常会話が続けられない ・ 味がよくわからない ・ 口内が痛む ・夜間に飲水のために起きる・虫歯が多くなったなど。その他:乾燥症状以外に全身の内臓病変を伴うこともあります。唾液腺の腫脹と痛み・膣乾燥(性交不快感)・レイノー症状・関節痛・紫斑・皮疹等が起こることがあります。重要な内臓の合併症として、肺、腎、神経の病変やリンパ腫というリンパ系の腫瘍を合併することもあるので注意が必要です。
〇当院を受診される多くの理由シェーグレン症候群の疑いや心配のある方が当院を受診される理由で多いのは・上記のような目や口の症状で当てはまるものが1つでもある。・人間ドックや他の病院、眼科や、耳鼻科、歯科などでシェーグレン症候群の疑いがあるといわれた・親族にシェーグレン症候群や他の膠原病、関節リウマチなどの人がいて心配などです。
〇当院での診断当院ではシェーグレン症候群を疑った場合以下のような検査を行います・サクソンテスト(唾液分泌量測定):ガーゼを2分間噛み、ガーゼに吸収される唾液の量を測定します。・シルマー試験(涙液量検査):専用のろ紙を下瞼にはさみ、涙で濡れた長さを測ります。・血液検査:シェーグレン症候群で陽性になりやすいといわれている抗SS-A抗体、抗SS-B抗体を含めた血液検査を行います。上記のうち2項目が陽性であればシェーグレン症候群と診断されます。
これによって診断された場合はいかに説明する合併症があるかどうかを確認し、治療が必要な症状や合併症があればそれぞれに応じた治療を開始していきます。また、診断基準は満たさない場合でも、将来的になる可能性がありそうな疑わしい方に関しては早期診断につなげるために、相談の上定期的にフォローをさせていただいています。シェーグレン症候群を疑って検査を行い、似たような症状を起こす他の疾患(膠原病)が見つかることもありますので、気になる症状があれば受診をお勧めします。
【シェーグレン症候群と診断された方へ】
〇治療法現在、シェーグレン症候群を完治させる治療はなく、目や口の症状に関しては症状を和らげる対症療法が主体となります。ドライアイの治療涙の分泌を促す:涙の成分であるムチンや水分の分泌を促進し、涙の状態を改善する点眼があり、高い効果があります。涙の補充:人口涙液や涙のうるおいを保持し安定させる目薬を使用します。涙の乾燥を防ぐ:眼鏡やサングラスなどで乾燥を防ぐことやエアコンの風などに直接当たらないようにするなど生活の指導をさせていただいています。涙の排出量を減らす:涙が排出される涙点という場所に涙点プラグという蓋をするか、手術で涙点を閉じることができます。この場合当院ではご希望に応じて眼科を紹介することができます。口腔乾燥の治療唾液の分泌促進:唾液を増やす薬があります。副作用に発汗などありますが、うがい薬のように使用すると副作用を抑えられるという検討もされています。唾液の補充:人工唾液があり、噴射式のタイプと塗布するタイプがあります。味も改良されており、症状をやわらげることができます。ステロイド薬は症状に応じて使用されることがありますが、乾燥症状には無効で、副作用もあるため、使用は限られています。これらの治療は患者さんごとによって相性があるため、当院では相談をしながら、継続していける治療を、通院を通して一緒に考えていきます。その他症状に対しての治療その他全身病変に対しては早期の発見、治療をしていくことが重要になります。重要な内蔵の合併症にはステロイド、関節痛などには痛み止めを使用します。10-20年たっても変化のない人が半数以上です。しかし中には何らかの検査値の異常や全身性の病変が発症する可能性もあり、これらが出てくるかどうかに関しては予測がつきにくく、ご自身でも判断が難しいため、早期発見、治療により重症化を防ぐため、安定している方でも2-3か月程度に1回の定期フォローを行っています。この病気を完治させることはできませんが、いろいろな症状を和らげることはできます。患者の皆様がうまく病気と付き合っていけるようにSRCのメディカルスタッフ一同がそれぞれの立場からお手伝いできればと考えています。病気に対する心配、生活に対する心配など何かお困りのことがございましたら受診の上ご相談ください。
シェーグレン症候群患者さんの妊娠出産に関してシェーグレン症候群の患者さんの血液の中に存在することの多い自己抗体(SS-A、SS-B抗体)が、妊娠中に胎盤を通って母から児に移行して皮膚症状や心機能障害などの影響を及ぼすことがあります。皮膚症状は一時的で、心臓などの重度の症状が出る確率は約1%です。ほとんどの場合、正常な妊娠出産が可能ですので心配はいりません。まれに抗リン脂質抗体を持っている方は流産を繰り返すこともあります。妊娠などで心配なことがありましたらご相談ください。
シェーグレン症候群は指定難病に認定されており、国の定める基準により医療費の助成を受けることができます。当院では重症度に応じてシェーグレン症候群の難病受給を受けるのに必要な臨床調査個人票を記載・作成することができます。
受診のご予約は電話でとることができます。シェーグレン症候群の検査や診察、治療、相談などで受診の希望される場合にはお気軽にお電話ください。
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