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手の腫れの原因と対策:考えられる疾患とケア方法

はじめに

手の腫れは、単なる疲労や軽い炎症から、リウマチや膠原病などの慢性疾患まで、さまざまな要因によって引き起こされることがあります。
特に朝のこわばりや関節の痛みを伴う場合、早めに医療機関を受診することが重要です。

本記事では、手の腫れの主な原因と考えられる疾患、適切な対処法について解説します。


手の腫れの主な原因

炎症性疾患

関節リウマチ免疫システムが関節を攻撃し、腫れやこわばり、痛みを引き起こします。

膠原病(全身性エリテマトーデス、シェーグレン症候群など)全身の組織が炎症を起こし、手の関節や指が腫れることがあります。

痛風尿酸が関節に蓄積し、急激な腫れや強い痛みを伴います。

外傷や過度な使用

捻挫や骨折手を強く打ったり、転倒した際に腫れが生じることがあります。

腱鞘炎手首や指の使いすぎにより、腱が炎症を起こし、腫れや痛みが生じます。

ばね指(弾発指)指を曲げ伸ばしするときに引っかかるような症状があり、腫れが見られることがあります。


血流やリンパの異常

静脈瘤:血流が滞ることで手が腫れることがあります。

リンパ浮腫:手や指のリンパの流れが悪くなり、慢性的なむくみが生じます。

心疾患や腎疾患:血液の循環や水分バランスが崩れることで手が腫れることがあります。


リウマチや膠原病と手の腫れ

リウマチによる手の腫れ

リウマチは関節の炎症を引き起こし、特に手や指の関節が腫れることが多いです。
朝のこわばりが長時間続く場合や、両手の関節が対称的に腫れる場合は、リウマチの可能性があります。

膠原病による手の腫れ

膠原病は全身性の炎症を引き起こし、関節や血管、皮膚に影響を与えます。
手の腫れとともに発疹や口の乾燥などが見られる場合は、膠原病が関係している可能性があります。


手の腫れを軽減する方法

生活習慣の見直し

適度な運動:手の血流を促進するために、軽いストレッチや関節を動かす運動を行いましょう。

バランスの良い食事:炎症を抑える栄養素(オメガ3脂肪酸、ビタミンDなど)を摂取し、食生活を整えましょう。

水分補給:体内の水分バランスを維持し、むくみを防ぐために適度な水分を摂ることが重要です。


医療的アプローチ

薬物療法:リウマチや膠原病が原因の場合、抗炎症薬や免疫抑制剤が有効です。

理学療法:症状の進行を防ぐため、専門的なリハビリテーションを受けることが推奨されます。

医師の診断を受ける手の腫れが長期間続く場合は、医療機関を受診し、適切な検査と治療を受けましょう。




手の腫れに関する注意点

症状を放置しない

手の腫れが長引く場合や、関節の変形が見られる場合は、早めに医療機関を受診しましょう。
特にリウマチや膠原病の可能性がある場合、早期診断が重要です。

自己判断で治療を行わない

痛みを和らげるために市販の鎮痛薬を使用することもありますが、長期間の使用は副作用のリスクを高めるため、医師の指導のもとで適切な治療を行いましょう。

まとめ

手の腫れにはさまざまな原因があり、単なるむくみからリウマチや膠原病といった慢性疾患まで幅広い可能性があります。
特にリウマチや膠原病が関与している場合は、早期の診断と治療が不可欠です。
日常生活での工夫や医療機関での診察を通じて、症状の改善を目指しましょう。


◆当院での取り組み◆
当院では手の腫れを自覚して来院された患者さんに、関節エコーやレントゲンなどの画像診断、リウマチや膠原病などを含めた重要な病気が隠れていないかなどを確認するための血液検査など総合的な検査、診察を行っています。
原因がわかるとそれに対する適切な治療や対策をとることができ、症状改善につながります。

執筆者兼監修者プロフィール

上原武晃

湘南リウマチ膠原病内科

院長 上原 武晃

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